米国でも退役軍人とミツバチのプロジェクト

つぎは米国養蜂雑誌Bee Culture のニュースレターCatch the Buzz で10月に紹介された,同じく退役軍人とミツバチとを結びつけた「ブーツがビーを」プロジェクトです.世界の紛争地で戦い帰郷した帰還兵は英国同様にこちらでも苦しんでいますが,ウエストバージニア(WV)州オハイオバレーでは,自然環境保全と食糧生産に不可欠な花粉媒介者ミツバチとの互助活動が始まりました.

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ミツバチで自由にー 養蜂で戦争のトラウマに対処 その2

養蜂がなぜ心的外傷後ストレス障害を克服しようとする元兵士に効果があるのか,そのメカニズムはわからない.患者は専門家の意見に従うべきだ.しかし養蜂を続けていると,悪夢や不眠,攻撃的な行動,人間関係を保ちにくいなどの問題などが軽減できそうなのだ,とリチャードは自らの体験を語ります.

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ミツバチで自由にー 養蜂で戦争のトラウマに対処 その1

英国のデイリーポスト紙は1855年創刊の新聞で,160年間の歴史をもち北部ウェールズでは唯一の地域紙です.今年11月に“ミツバチで自由になろう(Bee Free)”プロジェクトの記事が掲載されました.兵役で海外の戦場に行き心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ帰還兵を,養蜂にとりくむことでのりこえる手助けをしようという活動です.

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自然と養蜂 -その3-

ただ,前述の「自然な」という言葉の食品規格策定で懸念されるのと同様に,「自然養蜂」をうたうときに従来の一般的な養蜂手順との違いを強調して,可動巣枠式巣箱はつかわない,ミツバチに彼らが望む巣房サイズで巣板を自作させるなど,その方法がやや極端になりがちです.一般的な養蜂手順は自然な養蜂ではないのでしょうか?

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自然と養蜂 -その2-

養蜂は亜寒帯から熱帯まで世界の様々な気候のもとでおこなわれています.どれほど草や樹木が開花して甘い蜜を出していても,人間の手でそれを大量に集めて甘みを味わうことはできません.けれども何百万年も地球に生息し,環境の変化にも適応して進化してきたミツバチの知恵と力を借りれば,地域の自然が生み出した貴重な資源を,滋養豊富なハチミツとして人間が活用できるようになるからです.

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自然と養蜂 -その1-

アメリカの養蜂雑誌Bee Culture に興味深い記事がありました.合衆国の消費者の三分の一が,製品にラベルされる「自然な」とか「有機栽培の」といったことばが何を意味しているのか,その具体的な中身がよくわかっておらず,また/同時に 政府が規定するその基準の違いなどを知らないという,ある調査結果の報告です.

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アピモンディア2015に行ってきました 概要報告

国際養蜂会議(International Apicultural Congress)は世界各国の養蜂協会と養蜂関連団体が所属する,この分野では最大規模の国際組織である国際養蜂協会連合(International Federation of Beekeepers’ Associations /Apimondia)が主催し,2年ごとに欧州内とそれ以外の地域とで交互に開催されています. 

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アピモンディア2015に行ってきました ポスター準備

アピモンディア国際会議ではミツバチの多様な側面の研究発表が行われる学術プログラムと,大規模な養蜂関係展示会/アピエクスポが2大要素です.無事に登録を済ませ,期間中どこにでも入れる種類のパス入りホルダーを首から下げると,15日のうちにこなすべき次のミッションのために警官が交通整理してくれている道路を渡りアピエクスポ展示会場エリアに移動しました.

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アピモンディア2015に行ってきました 会場と受付

9月15日-20日に韓国・大田(Daejeon)のテジョン コンベンション センター(DCC)で第44回国際養蜂会議/アピモンディア2015が開かれました.1985年名古屋の第30回がアジア地域で最初の開催,1993年中国・北京での第33回のあと,名古屋から30年後の今年,アジアで3回目となる韓国での国際養蜂会議開催でした.写真手前がDCC, その奥の白いテントと緑っぽい建物がアピエクスポ会場です.

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フェイスブックでミツバチ情報

facebookでは友人,知人が「いいね」をしたり,リンクをしたサイトを自動的に見る機会があります.ミツバチ関係者経由で私もいくつか興味深い外国のミツバチ関係サイトを楽しむようになりました.Beekeeping PhotographyとALICILIKをご紹介します.

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ビーズ・フォア・ディベロップメントの活動

マルボローハウスの慈善ガーデンパーティーが資金援助をめざした団体はビーズ・フォア・ディベロップメント(B f D)です.23年前に二人の女性が別のミツバチ関係組織から独立し活動を開始して以来,都会から遠くはなれた途上国の貧しい村落地域の開発事業では,養蜂を組み込むことによって豊かな生物多様性を維持しつつ,収入を増やし家計を強化できること.また土地を持たない最貧層の農民にも暮らしを向上させる有効な手段となりうるなど,養蜂のユニークな特質を伝えています.

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王室の庭でミツバチのためのパーティー

7月1日にロンドンのある王宮で世界各地のミツバチプロジェクトへの理解をたかめ,寄付をつのるガーデンパーティーが開かれました.会場はセントジェームズ宮殿に隣接するマルボローハウス,18世紀に赤レンガでたてられたマルボロー公爵のロンドンの館を19世紀初頭にイギリス王室が買い取り,皇太子邸として,また皇太后がバッキンガム宮殿から移り住む館などにつかわれてきた由緒ただしき建物です.1959年にエリザベス女王がこのマルボローハウスに英国連邦の事務局をおきました.

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ミツバチを通して深く幅広く

ハチミツは大昔の人類が口にした最初の圧倒的な甘味,古代社会では高価で貴重な交易品として,はるかな地まで運ばれていきました.蜂ロウは上質なロウソクとしてだけでなく,武器等の金属加工に不可欠な素材でした.ミツバチと人との関わりには長い歴史があり,Eva Crane 博士の大著The world history of beekeeping and honey huntingには,先史時代から続く養蜂の歩みが世界各地の事例で紹介されています.写真はCrane博士の業績をたたえて制作されたリトグラフです.

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ミツバチは危険動物!?

でも日本では学校や父兄の側に「ミツバチ=刺す危険な動物」との拒絶反応がまずあります.たしかにスズメバチ,アシナガバチ,ミツバチなど蜂類に刺されて命を失う人が毎年約20名いますので,無視できません.ただ刺害事故は体が大きく,毒性もつよいスズメバチ類で多く発生し,特に8月から10月までの間に集中しているそうです.

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ミツバチで多様な学びの機会を

100年以上前から,子供らが自分たちで責任を持って動物を飼育することが,日本の教育現場で積極的に奨励されてきました.でもミツバチ巣箱がある学校や,養蜂家の蜂場を訪ねる体験教室のような機会は,欧米に比べ日本はかなり少ないようです.なぜでしょう.写真は英国養蜂協会が制作した,ミツバチと親しむ授業のための資料.Bees in the Curriculumです.

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ロイヤル・ハイブはいかが?

強力な天敵スズメバチがいる日本とちがい,英国でセイヨウミツバチは在来種,本来野生で生きのびられます.ミツバチや他のハナバチ類が窮地に陥った原因の一つが,望ましい営巣場所と良好な養蜂植物の不足.英国は森林を切り倒したら再生しにくい地理環境,草原にミツバチは営巣できません.そこで季節ごとに美しく花を咲かせる個人の所有地に居心地よい営巣場所(巣箱)を新設すれば,多くの群が無事に越冬,自由に自然に分蜂し,健康な野生群が増え,環境も養蜂も支援できると考えられました.

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自然養蜂と巣箱

2010年に英国で蜂群越冬率が数年続して悪く,農作物の花粉媒介に必要な蜂が不足,養蜂家は議会にデモ行進して窮状をアピール.これを契機に「ミツバチを救え」を合言葉に,多様な組織による支援活動が開始.そのなかに,現在のハチミツ生産とポリネーション主眼の集約的な養蜂ではなく,もっと自然な,粗放的な養蜂でミツバチの健康を回復させようと主張する人たちがいました.

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自然養蜂と分蜂

能登でも3月下旬には女王蜂が再び産卵を開始,越冬した働き蜂は最後の力をふりしぼり,咲き始めた花から花粉と花蜜を集めました.やがて新しい働き蜂が生まれ始め,4月,5月と蜂群は次第に大きく成長,勢いをつけていきます.養蜂シーズンが始まりました.

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シカゴ オヘア空港蜂場の社会活動

現在75群を擁するオヘア蜂場はその活動目的として,地域のミツバチ生息数を安定させる,一般に対する啓蒙活動,そして蜂群崩壊症候群およびシカゴ地域の天候に耐えうる優良系統育種の研究活動をあげています.

オバマ大統領の地元ですから送粉者の健康促進を訴える昨年6月の覚書とポリネーター週間を熱心に支援するのも当然です.

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滑走路のミツバチ 2 米国・シカゴ

多数の蜂群を設置するという米国・シカゴのオヘア空港の蜂場については昨年6月のポリネーター週間に合わせて,シカゴ航空局のサイトによい記事がありましたのでご紹介します.ユニークな地域社会貢献を組み込んだ,とても興味深い養蜂活動です.

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滑走路のミツバチ 1 カナダ・モントリオール

英国の養蜂雑誌ビークラフトの4月号に,カナダ・モントリオールの空港に新しく蜂場ができたとの記事がありました.空港に蜂群を置くことはじつはすでに以前から行われていて,世界最大規模のものは75群を設置する米国・シカゴのオヘア空港なのだそうです.

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画期的な世界養蜂大賞2015

アピモンディアで長く続いていたミツバチ生産物などのコンテストが,前回キエフ大会で名称とシステムを改め, World Beekeeping Awards 2015(世界養蜂大賞)として今回も企画されています.コンテストにはミード(蜂蜜酒)や蜂ロウ,商品展示のカテゴリーがありますが,なんといってもメインは様々なハチミツの品評です.ここに今年は大きな変化が現れました.

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アピモンディア2015に参加しませんか

1985年の第30回名古屋大会以降2年ごとの養蜂国際会議開催地は,ワルシャワ,リオデジャネイロ,ペキン,ローザンヌ,アントワープ,バンクーバー,ダーバン,リュブリャナ,ダブリン,メルボルン,モンペリエ,ブエノスアイレス,そして2013年に紛争直前のキエフでした.

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国際養蜂協会連合(アピモンディア)とは

 本年9月に韓国の大田(Daejeon)で第44回国際養蜂会議/アピモンディア2015が開かれます.主催の国際養蜂協会連合(Apimondia)は世界各国の養蜂協会と養蜂関連団体が所属する,この分野では最大規模の国際組織です.

 1985年に名古屋で開かれた第30回国際養蜂会議は,アジア地域で最初に開催されたアピモンディアでした

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ミツバチからの贈り物 -  蜂ロウ その3

ロストワックス法(蝋型法,失蝋法)は日本でも金属加工業や芸術の分野で使われています.ロウが彫刻しやすく,また熱で溶けることを利用した鋳造法で,細緻で複雑な形状のものを繰り返して作れるため,紀元前に青銅器の鋳造法として既に主要古代文明のメソポタミア,インド,中国に伝播,ギリシャには300BC頃に伝わって盛んに使われたとのこと.

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ミツバチからの贈り物 -  蜂ロウ その4

トルコ航空は今でもエコノミークラスの客に機内用便利グッズをくれます.淡いアイボリー色の蜂ロウ入りクリームをその中に見つけたときは心底驚き,トルコが養蜂大国であることを実感しました.

現代でも蜂ロウは主用途である巣枠に張る巣礎の他に,さまざまな分野で利用されています.

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ミツバチからの贈り物 -  蜂ロウ その2

古代世界での蜂ロウの利用をその2,その3で見ていきます.

エジプトではファラオのミイラ作りや,壁画などでおなじみのカツラの形状維持に蜂ロウを.その他パピルスの保存,壁画の保存,副葬品の小像などの権力者のためのものに限らず,書類の封をする封蝋,酒を入れるアンフォラのうち塗り,造船,塗装,魔よけのお守りなど,日常生活で欠かせないものとなっていました.

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