スズメバチ騒動 その4

 ワシントン州農業省(WSDA) オオスズメバチ対策チームは派手な報道後,関心を持つ人が不用意にオオスズメバチを刺激することを懸念して,注意書きをだしました.日本の専門家小野正人先生があげている注意事項もここに加えておきます.

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北米オオスズメバチ騒動 その3 

英国Bee Craft 誌12月号が伝える北米オオスズメバチ騒動より引用

 米国の昆虫学者等は2020年10月24日に初めて,オオスズメバチを見つけ,その巣を探し出し,破壊するという任務を達成した.未来的な装備で身を守るチームの先端技術を取り入れた周到な準備がこの成果をもたらした.

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北米オオスズメバチ騒動  その2

  米国西海岸ワシントン州では,農業局(WSDA)の昆虫学者達が2019年12月以降,数個体のオオスズメバチをカナダと国境を接するワットコム郡内で確認していました.越冬した新女王が巣を構え,働き蜂を増やしている危険があるので,州民の協力も得て,スズメバチを誘引するトラップ(わな)を各地に多数設置,スズメバチを呼び寄せ,その周囲にあるはずの営巣場所を何週間も熱心に捜索しました.しかしオオスズメバチがスズメバチ類では世界最大サイズであっても,その巣を見つけるのはかなり困難.その巣は土中や木の洞に作られることが多いからです.

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北米オオスズメバチ騒動 その1

 今年11月にアメリカのマスコミは「殺人スズメバチ」がアジアから侵入したと,センセーショナルに報道しました.この騒ぎの原因,オオスズメバチ(英名 Asian giant hornet, 学名Vespa mandarinia)は世界最大のスズメバチ種で,もともと温帯,熱帯東アジアの山岳地と森林地に生息しています.日本にも分布,あなどれない危険な昆虫であることは,以前から知られています.

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アーモンドとミツバチ その3 

最新研究から二十日大根やカラシナの主根から土壌中の線虫防除成分が放出されることが示唆されました.これはアーモンドの木の健康改善に役立ちます.またアブラナ科のラピーニ(rapini / broccoli raab日本ではスティックセニョールの名で流通)は耐寒性があり,定植後6週で開花,側花蕾が多数でるので,花期が長い.ラピーニの花粉はミツバチに良く消化吸収され,必須アミノ酸を提供し,蜂病を抑制します.ミツバチは明るい黄色のこの花が大好きです.

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アーモンドとミツバチ  その2

大規模な単一栽培により,アーモンド生産者は自然資源を不当にいためつけているとの見方が広まり,規制が強化されました.アーモンド業界は蜂群の健全育成を支援するため, 2011年以来113平方キロメートルに花蜜・花粉源植物を植栽する活動をつづけています.

全米随一の大規模養蜂家.ジョン・ミラーは,変化は常に起きると言われているが,養蜂とアーモンド農園の関係でもまさにしかりだ,とのべました.

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アーモンドとミツバチ その1

アメリカ西海岸,温暖なカリフォルニア州のセントラルバレーに広がる3千平方キロメートル以上のアーモンド農園では2月に開花が始まり,その花粉媒介を全面的に養蜂家が飼養するミツバチに依存しています.アーモンド農園は人出を省き,大型機械で効率よく作業をするために,広大な敷地に,アーモンドの木だけを育てていました.下草はすべて除草しており,アーモンドが咲く時期以外にはミツバチの採餌先が何もありません.

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ハチミツを傷口に その3 創傷への適用

 ハチミツは古くから,ヨーロッパ,エジプト,インド,中国と世界中で伝統的な医薬として使われてきました.私は2001年にイギリス IBRAから出版された Honey and Healing の日本語版「ハチミツと代替医療」にかかわったので,世界各地で進められていたハチミツの医学的臨床研究を知りました.

 マヌカハニーだけでなく,やけどやなおりにくい潰瘍の治療,ハリナシバチハチミツで白内障治療など,大変興味深い内容ばかりでした.

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ハチミツを傷口に その2 甘い殺菌者

 今日世界中で300種以上の多様なハチミツが生産されています.ミツバチが訪れて,花蜜を集めてくる花の種類が違えば,それを元に作られるハチミツもそれぞれ異なった性格を持ちます.口器で吸い上げた花蜜をミツバチは腹部にある蜜胃に貯めておき,巣に戻ると,蜜胃の中身を貯蜜巣房にはき戻します.

 写真はオーストラリア北部のアボリジニのご夫婦が野生のハナバチの蜜を採集しているところです.甘い蜜を食料として,また感染症用軟こうや薬として使います.プロポリスは道具づくりや防水に活用.洞窟の壁画に使った人々もいたそうです.

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ハチミツを傷口に その1

 傷ぐすりとしてハチミツを使ったことありますか?ハチミツのもつ抗菌作用についての研究し,その効果について科学的裏付けを与えようとの活動がつづいています.古代から使われてきた代替医療治療薬ハチミツが,現代医学の主流に登場するかもしれません.CATCH THE BUZZ はハチミツの抗菌作用についてすでに四半世紀研究を続けているシドニー大学の微生物学者,ディー・カーター博士の話を伝えました.

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ミツバチの栄養 その2

 花粉はアミノ酸,脂質,ミネラル,ビタミンを供給する,ミツバチに不可欠な栄養源です.

 本稿はオーストラリア,ニューサウスウェールズ州農業省が養蜂家向けに提供する情報で,extensionaus.com.au/professionalbeekeepers/home?

Somerville (2005) Fat Bees Skinny Bees – a manual on honey bee nutrition for beekeepers.に基づいています.

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ミツバチの栄養 その1

 ミツバチが食べるものは花蜜 (炭水化物) と花粉 (タンパク質) です.明解ですね.

 でももう少し細かく言えば,ミツバチの健康維持に必要な栄養素はアミノ酸,脂肪,ミネラル,およびビタミン類です.それぞれについてみてみましょう.

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ビーズフォディベロップメントからの手紙 その2

 5月には大きな行事が多数予定されていました.ビーズフォーディベロップメントにとって,大切な季節なのです.まず地元モンマスでミツバチフェスティバルを開催,そして「持続可能な養蜂」やその他のBfD養蜂講座はどれも予約で満員になっていました.

 世界に知られた王立園芸協会のチェルシーフラワーショウでは今年,エジプト風造園デザインで花粉媒介生物への感謝の気持ちを表す予定でした.

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ビーズフォディベロップメントからの手紙 その1

 美しく素晴らしいお天気の5月になりました.ところが今年は新型コロナウイルス対策で私たち人間は活動が制限されており,ミツバチの方がよほど遠くに自由に飛び回っています.

 本当にそうなのです.イギリス・ウェールズのモンマスにある私たちの活動拠点でこの手紙を皆さんあてに書いていたら,分蜂群が飛来して,建物の横に置いてあるビーハウスに落ち着きそうです.

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米国農務省ミツバチ研究部門長からの依頼

 有力養蜂雑誌Bee Culture から Eメールでほぼ毎日とどくCatch the buzz は学術研究からイベント,業界の話題など新しく多彩な情報の源です.

 COVID-19 対策で,担当者が今日(3月23日)から自宅で発信となり,前代未聞の事態で不安と嘆く一方,米国政府ミツバチ研究部門のトップから不足するマスクを養蜂家から提供してほしいとの真摯な依頼も伝えています.

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ミツバチヘギイタダニ その2

 ミツバチヘギイタダニの感染がどれほど危険か,たくさんの証拠があります.トウヨウミツバチから,新しい宿主であるセイヨウミツバチに寄生先を拡大して以降,世界中で何十万群ものコロニーが失われました.このダニを完全に排除するのは困難ですが,その寄生率を低く抑えることで,生産性の高い養蜂を続けることは可能です.

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ミツバチヘギイタダニ その1

ミツバチヘギイタダニはバロア病の原因とされるミツバチの寄生ダニです.ミツバチの体中ではなく,外部寄生性で肉眼でも見ることができます.ミツバチの生活環で,成蜂と蜂児期のどちらにも寄生して,有害な病原菌をコロニー内だけでなく,外の他のコロニーにまで感染させます.元々はトウヨウミツバチに寄生していました.

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