ミード アメリカで復活?

クラフト飲料産業の興隆に乗る形で,ミードが復活しようとしています.「クラフト飲料が大注目され,全米でビール,蒸留酒,リンゴ酒などの,小規模に手造りで製造管理する醸造所が雨後の竹の子のように出現している.それに比べ,ミード醸造はほぼ手つかずで,大きく伸びる可能性がある」,とコーネル大学ホテル学科のD.ミラー講師はヴォーグ誌の記事でのべました.

 写真は2005年アイルランド・ダブリンで開かれたアピモンディア2005の思い出の品です.アイルランドを去る前日に訪れたBunratty Castle and Fork Park で,このミードの小瓶を見つけたときは舞い上がり,大人買いをしました.こちらも経年で色が濃くなっています.

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ミード(はちみつ酒) 昔のはなし

ミードをお飲みになったことありますか?日本にはすばらしい醸造酒の世界があるので,ニホンミツバチを飼う養蜂で,ハチミツ酒をつくる伝統はないようです.でも古代には世界の多くの文明でミードが重用されていました.ミードは世界最古のアルコールとも考えられていて,中国,河南省の紀元前7世紀新石器時代の遺跡で,壷の中でハチミツ,米,果物をまぜて発酵した飲み物の痕が見つかっているそうです.

写真は2003年スロベニア・リュブリャナでのアピモンディア開催時に手に入れたミード小瓶です.経年でミードの色が濃くなり,ガラスに書かれたスロベニアの文字が見えにくくなりました.

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A.I. とL.L.の交流

創業者 エイモス・ルートAmos Ives Root (1839–1923) はエジソンやフォードと同時代に米国で活躍した起業家,発明家です.新技術に強い興味を持つ同郷(オハイオ州)の有力者として,ライト兄弟を早くから支援し,記録したことでも知られます.

養蜂産業が米国の農業経済発展に大きく寄与していた19世紀後半に,優れた養蜂企業家としてA.I. Root社を創業,近代的な養蜂器具を販売し,技術指導にも力を入れていました.

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大正元年の養蜂企業風景

face book で養蜂関連の伝承や古い資料を紹介するHistorical Honeybee Articles - Beekeeping History よりご紹介.この大正元年(1912年)に投函された古い絵はがきの郵送料は1セントでした.表の絵はアメリカの2大養蜂雑誌のひとつ,Bee Culture 誌の出版元,A.I. Root社の当時の様子をつたえています. 

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ロンドン中心部,ピカデリー産ハチミツの競売と夕食会

フォートナム&メイソンは1707年設立以来300年以上高品質な食品を扱う百貨店として国際的に知られた,イギリス王室御用達の老舗です.じつは10年前からロンドンのフォートナム&メイソン,ピカデリー本店屋上でミツバチが飼養されています. 写真は誠にエレガントな特製巣門をもつ同社の巣箱です.今月,10周年を記念した特別なチャリティーイベントが行われます.

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Apimondia 2019  ④ 会議タイムテーブル

2019年9月8日(日)から最終日9月13日までの時間割が発表されました.学術プログラムの基調講演と各セッション,円卓会議の部屋割りが決まっています.

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Apimondia 2019大会案内 ③ 会議登録 見学旅行

会議登録と登録料

大会ウェブサイトのRegister Onlineで参加登録ができる.まず登録サイト内に自分のアカウントをつくり,そこから参加登録と宿泊予約,発表申し込みができる.カード決済にMasterCard, Visa,が使用でき,登録時に全額払い込む必要がある.登録料の銀行送金も可能.方法は大会サイト参照.

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Apimondia 2019大会案内 ② 学術プログラム

第46回アピモンディア国際養蜂会議ではミツバチ関連分野の研究者と養蜂家の皆さんにそれぞれ興味を持っていただける幅広い話題が討議されるだろう.学術論文は7つのアピモンディア常設委員会が用意する各シンポジウムのテーマにあわせて,分類される.新たにモントリオール大会で加わるのは「分野横断シンポジウム」で,これは複数の分科会分野を視野に入れた話題を取り上げる.

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Apimondia 2019大会案内 ① 会場 宿泊 アピエクスポ

“持続可能な養蜂へ,農業と共に働くとカナダは答える”をテーマに,第47回国際養蜂会議が2019年9月8日(日)から13日(金)までカナダ・モントリオールの国際会議場the Palais des congrès de Montréalで開催される.    

会議ウェブサイトでは参加登録,発表申し込み,展示会出展申し込み,ホテル予約などがはじまった.8月末に公開された学術プログラム時間割を含め,大会案内第1報をまとめた.

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巣箱の置きかたと注意点 その2

5月のブログで取り上げた分蜂行動はミツバチの自然な欲求です.ミツバチは単独では生き延びられない社会性昆虫,大きなコロニー内の一員として生きています.ミツバチが末永く繁殖していくためにコロニーは分割してふえていく必要があり,それがまさに分蜂行動なのです.一方,養蜂家にとって,これまで育ててきた蜂群から女王蜂と半分の働き蜂が飛び出してしまい,それを回収できなかったら痛恨の極み.分蜂行動をうまく調整して,蜂を失うのでなく,増やしていけるようにしたいところです.

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巣箱の置きかたと注意点 その1

米国のAmerican Bee Journalと Bee Cultureをはじめ,中国,アルゼンチン,トルコなど世界の養蜂大国では月刊養蜂雑誌が発行され,飼養技術をはじめ養蜂関連情報が公開されています.初心者がミツバチを巣箱で飼養するなら,始める前に知っておくべきポイントなどもくりかえし取り上げられますが.養蜂実技に関する書籍が不思議なほど少ししか出版されていない日本では,目にする機会が少ないので,ほんの一部ですがご紹介しましょう.

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ミツバチヘギイタダニとバロア病

ミツバチヘギイタダニに感染した蜂群はすみやかに適正な対策が施されないと,しだいに勢いが弱まります.採餌,育児,巣の防御など通常の活動機能は低下していき,やがてコロニー全体が機能不全に陥る蜂群崩壊へと向かいます.このダニの存在は必ずしも目立つ訳ではないので(多くの時間を有蓋巣房内ですごす),突然蜂群がだめになって養蜂家は不意を突かれることになるのです.

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ミツバチヘギイタダニは強力な害敵

ミツバチヘギイタダニ(バロアダニVarroa destructor (Anderson and Truman))は ミツバチ成蜂と幼虫の体外に寄生するダニです.過去数世紀にわたり世界のミツバチの最も手ごわい害敵であり,生来の対抗手段をもたないセイヨウミツバチはとくに深刻な被害を被っています.その寄生数が上昇すると,ミツバチコロニーはバロア病と呼ばれる一連の症状を発症し,的確な対策がなされないと,この蜂群は2~3年のうちに死滅するでしょう.

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分蜂シーズンの到来 その2

 新たに出房した若い女王蜂は交尾飛行から戻り,産卵を開始すると巣内にとどまります.ローヤルゼリーを十分に与えられ,大きな腹部から産卵の日々.ローヤルゼリーは完全に消化されるので,糞をするために巣の外に飛び出ることもないのです.ところが分蜂準備が始まると,働き蜂から女王蜂へのローヤルゼリー給餌が控えられるようになり,女王蜂は腹部がほっそりとなります.

 写真右上の女王蜂,腹部は普段これほど大きくなっています.

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分蜂シーズンの到来 その1

 大学生になれば5月のゴールデンウィークに大いに楽しめると思っていました.ところが,「ミツバチ研究分野の教員や学生に連休などありません.分蜂群を至急回収して欲しいとの依頼にそなえ,準備して待機するのです」ときびしい言葉を聞かされました.もう半世紀ほど前の話ですが.

 写真は分蜂が起きる数時間前のある蜂場の様子です.良い天気で花盛り.

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春になったら蜂が増えて

「私の蜂場周辺にはアブラナ畑があり,いつ開花するか,その成長を注意深く見守っています.それで,私の蜂群に上置き巣箱を追加するのは,いつ頃がベストでしょうか」.この質問をした方はたとえば,「菜の花が5分咲きになった頃に,2段群にするのが良いでしょう」という分かりやすい返事を期待したのでしょうか. 

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春を待つ日々  その2

 Bee Craftは月刊雑誌なので,季節に合わせた蜂群飼養管理技術をかなり具体的に毎号掲載します.花粉媒介昆虫の危機を理解し,彼らに必要な環境の保全にも協力しようとの思いから趣味養蜂を始めた,入門レベルの購読者が近年多数いるので,ベテランが自分のノウハウを開示する連載記事なども.概して英国人は分かり易く教えるのが好きだし,うまいですね. 

 さらに購読者にはほぼ毎週,お役立ちメールがとどきます.

写真は昨年2月号の表紙.こうして巣箱を開けてゆっくり内検できる春の到来を今か今かと待っているのでしょう.

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春を待つ日々 その1

 ひどい冬ですね.昨年末から米国は記録的大寒波におそわれて,日本にも低温と冬の嵐が繰り返し来襲して,野菜が高騰.遅れた梅も開花しはじめ,私たちはやれやれ春がもうすぐだと期待する2月末に,寒波がこんどはフランス,イギリスをめがけて東から吹き出しています.

 越冬してきた蜂群が春を前に活動を始めようという冬の終わりは,ミツバチに一番厳しい,難しい時期です.そこに寒波で大雪!? イギリスのミツバチは大丈夫でしょうか.とても心配です.

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蜂ロウ製ロウソクの優れた点

もちろん蜂ロウは高価なものです.ミツバチの労働の結晶であるハチミツから,その1/6の重さのロウが作られます.ミツバチがロウでつくる巣板,たとえば春に巣箱の中で見つける無駄巣を手にとってごらんなさい.半透明の精緻なハニカム構造で,ふんわりと厚みはありますが,紙よりはるかに軽いです.ロウソク1本分の蜂ロウを得るのにどれだけの巣が必要でしょう.ハチミツを得るためにどれだけのミツバチが飛び回ったでしょう.

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蜂ロウ製のロウソク その2

蜂ロウ製のロウソクは古代エジプト,古代ギリシャ・ローマ,中国の東晋時代に使われた記録があります.もちろん記録に残らないもっと以前の時代にもあちこちで燃やされていたはずです.しかし蜂ロウは高価で貴重な素材だったので,だれもがこのロウソクを潤沢に使うわけにはいきませんでした.

高温で美しく燃える明るい炎は,特別の日に,特別の場所でみつめた人々の希望の光だったのでしょう.

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蜂ロウ製のロウソク その1

今冬は例年にない厳しい寒波が続きますね.日照時間が短く,暗く寒い時間が長い冬は,いつの時代の人々にとっても,つらく厳しい時期だったでしょう.ふたたび光りがあふれ,植物がみどりを回復し,虫,鳥,けものたちが姿を現す暖かな春の訪れを,みな心から願ったに違いありません.冬の祭りに沢山のロウソクが灯されたのは,明るく暖かな春が巡り来ることを待ち望む気持ちの表れでもあったはずです.

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5月20日はワールド ビー デイ

5月20日はワールド ビー デイ(世界ハナバチの日)と先の国連総会で制定されました.

世界の食糧供給を保証するためには,持続可能な農業生産におけるハナバチの働きが大切であること,しかし開発や温暖化による環境の変化が,花粉媒介者の生息を困難にしていることを人々に広くうったえ,ミツバチや養蜂を担う人々の支援には農作物との円満な関わりが不可欠であることへの理解を求めます.

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