ミード アメリカで復活?

クラフト飲料産業の興隆に乗る形で,ミードが復活しようとしています.「クラフト飲料が大注目され,全米でビール,蒸留酒,リンゴ酒などの,小規模に手造りで製造管理する醸造所が雨後の竹の子のように出現している.それに比べ,ミード醸造はほぼ手つかずで,大きく伸びる可能性がある」,とコーネル大学ホテル学科のD.ミラー講師はヴォーグ誌の記事でのべました.

 写真は2005年アイルランド・ダブリンで開かれたアピモンディア2005の思い出の品です.アイルランドを去る前日に訪れたBunratty Castle and Fork Park で,このミードの小瓶を見つけたときは舞い上がり,大人買いをしました.こちらも経年で色が濃くなっています.

 「かつてミードのかわりに飲まれたジン,メスカル(テキーラ),ビールなどのアルコール飲料は,料理業界の多様化と変遷に伴って,それぞれ大きく消費を延ばした時代があった.はやり廃りを経験している.しかしミードはそこが異なる」とのこと.ニューヨーク近郊だけでも2009年,16年,17年に立てつづけに3軒が開店.アメリカミード製造者協会(AMMA)によると,ミード醸造所は合衆国内に500個所あり,現在は3日に一軒のスピードで,新規開店するほどだそうです.ディズニーチャンネル出演の若手俳優が友人と開いた店もあるとか.西欧世界の片隅に100年以上追いやられていたミード,本当にブレイクするのでしょうか.

 伝統的アルコール飲料であるミード(ハチミツ酒)には厳密な規格がありません.基本はハチミツ,水,それに酵母.アピモンディア(世界養蜂国際会議)で行われるWorld Beekeeping Awards (コンテスト)や英国のNational Honey Show をはじめ,各地で開かれるハチミツ品評会には,Mead 部門もあります.アメリカのある養蜂協会のコンテスト規約の一部をご紹介すると,甘口,辛口,メロメル(melomel スパイスやハーブを加えたもの),それにサイザー(Cyser ミードにりんごやりんごジュース,アップルサイダーを加えたもの)の4部門があります.またミードの審査基準はボトルと栓の清潔さ,色,透明性,沈殿物のなさ,香り,ボディ,および味とのこと.

 市場でのハチミツの扱いが,画一で安価な甘味としてではなく,ワインと同じように,各地の特徴ある環境から生み出される多彩な味わいを楽しむものとして評価する時代になりました.健康的でおいしい食事を求める人は世界規模で増加中.めあたらしいけれど,じつは長い歴史と興味深い逸話をたくさんもつミード,新しいひねりを加えたトレンディーなミード.アメリカでの脚光をチャンスに,力強くマーケットを世界に広げる機会となりますように.