蜂ロウ製ロウソクの優れた点

もちろん蜂ロウは高価なものです.ミツバチの労働の結晶であるハチミツから,その1/6の重さのロウが作られます.ミツバチがロウでつくる巣板,たとえば春に巣箱の中で見つける無駄巣を手にとってごらんなさい.半透明の精緻なハニカム構造で,ふんわりと厚みはありますが,紙よりはるかに軽いです.ロウソク1本分の蜂ロウを得るのにどれだけの巣が必要でしょう.ハチミツを得るためにどれだけのミツバチが飛び回ったでしょう.

 蜂ロウは自然からの贈り物です.必要な加工処理は夾雑物の除去など最小限だけ.蜂が作ったそのままの状態でこの自然なワックスを人間も使ってきました.添加物はありません.蜂ロウ製ロウソクには多くの優れた特性があります.

◎ 燃焼が安定しており,粘り着く黒いススを出しにくい.

◎ 強く,明るく燃え,炎色は太陽光に似て暖かみがある.

◎ かすかに蜂蜜のような香りがして,ロウソクの燃える空間の雰囲気を和らげる

◎ 蜂ロウは他のロウよりも融点が高い,そのため融点が低いワックスのロウソクより燃焼時間が長く,溶けたロウがしたたり落ちにくい.

◎ バランスのとれた芯をつかったロウソクは,無風状態なら溶けたろうがしたたり落ちることなく,きれいに燃えやすい.

◎ 悪臭,腐臭を発生しない

◎ 表面の処理をしていない蜂ロウ製ロウソクは木ロウのものと同様に,時間が経つと表面に粉を吹いてくる.手でくるんで暖めたり,柔らかな布で拭き取ればよいのだが,このブルームはロウソクが蜂ロウ製であることの証といえる.

 

 写真のロウソクはネパールの養蜂家からいただいたものです.ロウの色がややくすみ,白茶けているのは,不要になった巣板全部を無駄なく溶かして精蝋したからでしょう.丁寧に漉してあるので実用には全く問題ありません.明るく橙色に輝くような蜂ロウは,育児をした巣板は使わず,新しい巣板と貯蜜巣房の蓋の部分(キャッピング)だけを精蝋することにより得られます.ロウ自体は半透明でうすいクリーム色,含まれる花粉の色を反映して微妙な色合いの違いがうまれます.