大正元年の養蜂企業風景

face book で養蜂関連の伝承や古い資料を紹介するHistorical Honeybee Articles - Beekeeping History よりご紹介.この大正元年(1912年)に投函された古い絵はがきの郵送料は1セントでした.表の絵はアメリカの2大養蜂雑誌のひとつ,Bee Culture 誌の出版元,A.I. Root社の当時の様子をつたえています. 

 オハイオ州メディナにあるミツバチと養蜂資材を販売するルート社から顧客に向けてこの絵はがきが発送されたのは,工場生産の中心を養蜂器材から教会用高級ロウソクに変える前の時代です.養蜂雑誌Gleaning of Bee Culture の印刷もここでおこなわれ,動力はまだ蒸気ですね.1878年の同社の銅版画では,建物は1棟だけですが,すでに大量の製品を出荷するため,工場敷地内まで鉄道線路が敷設されています.煉瓦造りの社屋は絵はがきの時代までに建て増しが進んだようですね.

 広い前庭にルート社の蜂場が整備されています.手前の2つの網室は作業員がその中で巣箱を開けて作業しても盗蜂がつく心配がない設備です.エイモス・ルートはこの大切な本社蜂場の設計にあたり,ブドウの木を巣箱の横に多数植えました.どの巣箱も暑い夏季にはブドウのすずしい葉陰に守られ,それ以外の季節はブドウの葉が落ちて,十分な日照が得られるというわけで,彼が振興している近代的,合理的な養蜂技術の実践でした.