分蜂シーズンの到来 その1

 大学生になれば5月のゴールデンウィークに大いに楽しめると思っていました.ところが,「ミツバチ研究分野の教員や学生に連休などありません.分蜂群を至急回収して欲しいとの依頼にそなえ,準備して待機するのです」ときびしい言葉を聞かされました.もう半世紀ほど前の話ですが.

 写真は分蜂が起きる数時間前のある蜂場の様子です.良い天気で花盛り.

 50年経っても,ミツバチの生活環は変わりません.連休で世間が浮かれるこの時期,養蜂家は予定外の分蜂が起きないように,大切なミツバチをみすみす逃がさないように,蜂場でていねいに内検し必要な対応をしているはずです.

 厳しい冬の寒さがようやくおわり,春の花が開花し,ミツバチコロニーでは女王蜂が産卵を再開しました.越冬した働き蜂は死んでいきますが,変わって若い蜂が次々出房.女王が順調に産卵を続けていれば,蜂の数は増え,あわせて春の花の蜜も勢いよく運び込まれて,貯蜜用巣房がもっと欲しくなるほど.このように巣が手狭になると,コロニーは巣分かれの準備をはじめます.

 働き蜂が王台をつくり,新しい女王蜂が生まれると,旧女王蜂は巣の半分ほどの働き蜂とともに,新らたな好ましい営巣場所をもとめて,古い巣から一斉に飛び出していくのです.これをミツバチの分蜂といい,分蜂群は一匹の女王蜂と最大約2万匹の働き蜂からなります.セイヨウミツバチの分蜂時期,南北に長い日本ではやはり西日本で早く始まりますが,4月,5月を中心に春から初夏です.分蜂マップ 2018  http://www.swarm-map.com/ja という興味深いサイトがあります.

 なおアシナガバチ,スズメバチ,マルハナバチなどはこのような分蜂をしません.多数の蜂が一斉に飛び回ったり,木の枝などにまとまっていたら,それはミツバチの分蜂群でしょう.