巣箱の置きかたと注意点 その2

5月のブログで取り上げた分蜂行動はミツバチの自然な欲求です.ミツバチは単独では生き延びられない社会性昆虫,大きなコロニー内の一員として生きています.ミツバチが末永く繁殖していくためにコロニーは分割してふえていく必要があり,それがまさに分蜂行動なのです.一方,養蜂家にとって,これまで育ててきた蜂群から女王蜂と半分の働き蜂が飛び出してしまい,それを回収できなかったら痛恨の極み.分蜂行動をうまく調整して,蜂を失うのでなく,増やしていけるようにしたいところです.

○ 2群飼っていれば,初夏に両方の群で分蜂熱を感じることがあるかもしれない.一般的な分蜂対策は1群を2分割し,横並べした2つの巣箱にしばらくの間,入れる方法だ.2群が4群になるのでもっとスペースが必要になる.巣箱の間隔は2m程度,可能ならもっと離して置こう

○ 近くにミツバチの水場を確保しよう.さもないとミツバチが近所の庭の池や水道栓のしたたり,水泳プールに現れて,あちこちで評判が悪くなるだろう

○ 蜂場周辺に十分な植物があるか確認すること.花卉,低木,樹木は花蜜源,花粉源となる.ミツバチは巣箱から3km以上先まで飛べるので何とか探せるのではあるが,より近い場所に優良蜜源,花粉源があればあきらかに望ましいことだ.近所に別の蜂群がいて,採餌先を競っているかもしれない.その点も地元の養蜂協会が調整できるだろう.

○ 巣箱を開けて巣板をしらべるなどの作業しやすい高さにも配慮を.自分の高さに合わせたハイブスタンドを購入,または制作しよう.背の高い人は巣箱を見るのに背を丸めがちで,それで背中を痛めている.高めのスタンドに巣箱を乗せれば,楽になる.一方背が低い人はハチミツが入って重くなった上置き巣箱を取り外すのに,巣箱の位置が高すぎれば大問題だ.理想的な巣箱の高さは腕を両脇におろし,肘の位置が蜂児巣箱の上端と同じになる程度である.

○ 残念なことに,巣箱の盗難は増えている.巣箱はのぞき回る不審人物の目に付かない場所に置き,門には施錠して盗難を未然に防ごう.