A.I. とL.L.の交流

創業者 エイモス・ルートAmos Ives Root (1839–1923) はエジソンやフォードと同時代に米国で活躍した起業家,発明家です.新技術に強い興味を持つ同郷(オハイオ州)の有力者として,ライト兄弟を早くから支援し,記録したことでも知られます.

養蜂産業が米国の農業経済発展に大きく寄与していた19世紀後半に,優れた養蜂企業家としてA.I. Root社を創業,近代的な養蜂器具を販売し,技術指導にも力を入れていました.

 1877 年初版の彼の著作, "ABC of Bee Culture" は信頼できる養蜂百科事典として,エイモスの子から孫へと経営が引き継がれたRoot社より,新たな筆者と記事を加えながら,時代を超えて版を重ね出版されました.約140年後の現在は "The ABC and XYZ of Bee Culture" 第41版がでています.

 見出しの写真はその裏表紙をかざるエイモス・ルートです.こちらのセピア色の写真はあの絵はがきの,日陰用にブドウを植えた蜂場にすわる,晩年の L. ラングストロス師(1810-1895)です.近代養蜂の父とたたえられる彼は,ビースペースに着目し,可動式巣枠,巣礎,ハチミツ抽出用遠心器,燻煙器,そしてラングストロス巣箱と,次々に開発,養蜂を近代産業とするための基礎を固めました.日本でもセイヨウミツバチを飼養するとき,基本はラングストロス巣箱でしょう.写真で彼が手にした巣枠はラ式の可動式巣枠でしょうね.1885年までオハイオに住んでいたラングストロス師はエイモスの友人として,メディナのルート社をたびたび訪れていました.ABC and XYZ of Bee Cultureに誇らしげに掲載されています.