トルコ航空は今でもエコノミークラスの客に機内用便利グッズをくれます．淡いアイボリー色の蜂ロウ入りクリームをその中に見つけたときは心底驚き，トルコが養蜂大国であることを実感しました．
現代でも蜂ロウは主用途である巣枠に張る巣礎の他に，さまざまな分野で利用されています．
巣礎以外の利用は，食べても安全な天然物で，アレルギーを起こす可能性が低い特性を生かして，化粧品25-30%，医薬25-30%，ロウソク20％，そのほかが10-20％となっています，
化粧品： 蜂ロウはそのすぐれた粘着性，可とう性（柔軟性があり折り曲げてもポキンと折れない性質），乳化性と上品な質感により，化粧品の各材料を滑らかにまとめ，皮膚をカバー，保湿します．各種クリーム，化粧水，整髪料，口紅，リップクリーム．まゆ墨，アイシャドウなどに広く使われていて，手作りコスメ用素材としても代表格でしょう．
食品： 防湿，防水効果があり，糖衣食品，果実，菓子などをつやのある膜でコーティングします．また和・洋菓子の離型剤としての利用もあります．カヌレ・ド・ボルドーという焼き菓子が蜂ロウをかなり身近な存在にしてくれました．あれも離型性効果，皮膜形成による劣化防止の活用例ですね．
医薬品工業： 成分を結合し，徐々に拡散させる機能，耐水性，乳化性，なめらかさなどの特性から錠剤，カプセル，軟膏などに広く利用されています．
その他： CDやセラミックスのような精密製品をつくるときに鋳型からの剥離剤．耐食さび止め，潤滑剤として．また空気，湿度，害虫から遮断するワニス，艶出し剤として絵画，芸術品の補修，金属，木材（床，家具など），皮革の手入れや保護にも．そのほか包装から処理，保存まで多様な製品や加工工程で必要な一要素として，情報産業、印刷工業、皮革工業、油剤工業、キャンドル工業、紙加工業などで利用されています．