自然養蜂と分蜂

能登でも3月下旬には女王蜂が再び産卵を開始,越冬した働き蜂は最後の力をふりしぼり,咲き始めた花から花粉と花蜜を集めました.やがて新しい働き蜂が生まれ始め,4月,5月と蜂群は次第に大きく成長,勢いをつけていきます.養蜂シーズンが始まりました.

春の花が次々咲き,大量の花粉,花蜜が運び込まれる一方,女王蜂は連日産卵を続けます.育児中の巣房,花粉や蜜をためる巣房と,巣板は隅の方まで利用され新たな産卵場所が足りないほど.若い蜂がふえて巣箱の中は次第に窮屈になります. 

ミツバチはその種を子々孫々までつなげていくための基本的な行動として,この時期に分蜂/巣わかれをします.前年秋に雄蜂はもう無用だと巣から追い出され,越冬中はいませんでしたが,この時期に再び出てきます.また巣板下部に王台が造られて,新女王も誕生.未交尾女王は天気の良い日に巣箱を飛び出し,周辺の群から雄蜂が飛来し空中で集合している場所をめざします.飛行しながら複数の雄と交尾して巣に戻り,産卵を開始すれば若い女王蜂による新しい群の準備完了です.

これに合わせて現在の女王蜂は分蜂の準備として一時的に産卵を休止,体をほっそりとさせます.やがて蜂群の大多数,一万匹ほどの働き蜂がハチミツを目いっぱいお腹に詰めて,別の場所に新しいコロニーをつくるために女王蜂と共に一斉に巣箱を飛び立ちます.巣に残った蜂は新女王を育てて巣箱の群を継続,1群が2群に増えたことになります.

一方,ハチミツ生産を目的に飼っているなら,晩春から初夏は花蜜が大量に入る大切な時期.蜂の数が多いほどハチミツは効率的に貯まります.分蜂がおきて元の巣箱は蜂ががっくり減る,飛び出した分蜂群が回収しにくい場所にいってしまうとなったら,まさに泣きっ面にハチ!です.なので,ミツバチの都合で分蜂しないように,まめに巣板を調べ,巣箱を2段重ねにするなど蜂群管理を色々工夫します.