画期的な世界養蜂大賞2015

アピモンディアで長く続いていたミツバチ生産物などのコンテストが,前回キエフ大会で名称とシステムを改め, World Beekeeping Awards 2015(世界養蜂大賞)として今回も企画されています.コンテストにはミード(蜂蜜酒)や蜂ロウ,商品展示のカテゴリーがありますが,なんといってもメインは様々なハチミツの品評です.ここに今年は大きな変化が現れました.

 国際養蜂協会連合が欧州起源の組織であり,また世界の養蜂業で飼養されるのはほとんどセイヨウミツバチなので,アピモンディアでのコンテストはセイヨウミツバチの蜂蜜だけを対象とし,品質評価もセイヨウミツバチのものを基準にしていました.しかしアジアにはトウヨウミツバチなど複数のミツバチ種が生息しており,人々は伝統的にそれらの蜂のハチミツを利用し,トウヨウミツバチの巣箱での飼養も各国で行われています.また世界で400種以上が知られているハリナシバチは,分布域が中南米・東南アジア・オーストラリア・アフリカの熱帯・亜熱帯地域に限られますが,そのハチミツもやはり地域の人々に利用されてきました.ところがアピモンディア コンテストの従来の規則ではセイヨウミツバチの蜂蜜以外は審査対象になれなかったのです.

 近年,加盟国が拡大し多様な養蜂背景をもつ会員が増えたことを踏まえ,アフリカ,欧州,アメリカ,アジア,オセアニアから各地域の代表がアピモンディアの役員に加わりました.欧州以外の視点が強化された結果,World Beekeeping Awards 2015のハチミツ部門にはセイヨウミツバチの蜂蜜のほかに,トウヨウミツバチとオオミツバチの蜂蜜,およびハリナシバチ蜂蜜の2部門が新設されたわけです.

 EUが定めるハチミツの域内輸入条件が変更されて,事実上セイヨウミツバチ以外のハチミツを締め出すことになるなどの問題が発生しています.アジアで久しぶりに開催されるアピモンディア2015 韓国・デジョン大会のコンテストが,ハチミツとはセイヨウミツバチのものという欧米人の固定観念をゆさぶる大きな転換点になるのではと期待いたします.