強力な天敵スズメバチがいる日本とちがい，英国でセイヨウミツバチは在来種，本来野生で生きのびられます．ミツバチや他のハナバチ類が窮地に陥った原因の一つが，望ましい営巣場所と良好な養蜂植物の不足．英国は森林を切り倒したら再生しにくい地理環境，草原にミツバチは営巣できません．そこで季節ごとに美しく花を咲かせる個人の所有地に居心地よい営巣場所（巣箱）を新設すれば，多くの群が無事に越冬，自由に自然に分蜂し，健康な野生群が増え，環境も養蜂も支援できると考えられました．
蜂を飼おうと志す人が急に増えて，研修プログラムは満員．養蜂雑誌は多彩な記事で極めて充実．それは素晴らしいことですが，生産目的でなく，ミツバチ支援の気持ちが主な人には，小鳥の巣箱を樹に設置するのと似た感覚で，手間，暇，コストをかけずミツバチにお任せで，わが家の庭を自由に使ってくださいと，トップバー巣箱を置くやり方がおあつらえ向きです．ということから，こんなニュースが．
ロイヤル・ハイブはいかが？
「チャールズ皇太子は1980年代以来コッツウォルズ地方テットバリーの私邸ハイグローブ内に，有機的に維持管理する庭園，農園を育てられてきた．高い意識を持つ養蜂家として，ミツバチのために最良品質を提供したいと考えられて，国際的な森林管理の認証を行う森林管理協議会（FSC）認定の杉材とカラマツ材を用いた手仕事によるトップバー巣箱の販売をこのたび開始された．価格は１台£1,250である．巣箱販売の収益はすべて殿下のチャリティー活動に充てられる．巣箱は注文制作で納品までに8-12週間かかる．」
販売するハイグローブのウェブサイト（www.highgroveshop.com）では「この巣箱はミツバチが自然環境内で暮らすのとよく似た，持続可能で衝撃が少ない環境を提供できる」と説明．ちなみに上品なトップバー巣箱 ロイヤル・ハイブのお値段は約23万円！養蜂器具屋のトップバー巣箱の約10倍．チャリティー価格です．またスコットランドにある王室の夏の離宮，バルモラル城領内で生産されるヘザーハニーも，チャールズ皇太子のブランド「ダッチーオリジナルズ」の製品として，高級スーパーなどにあるようです．