ミツバチで自由にー 養蜂で戦争のトラウマに対処 その1

英国のデイリーポスト紙は1855年創刊の新聞で,160年間の歴史をもち北部ウェールズでは唯一の地域紙です.今年11月に“ミツバチで自由になろう(Bee Free)”プロジェクトの記事が掲載されました.兵役で海外の戦場に行き心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ帰還兵を,養蜂にとりくむことでのりこえる手助けをしようという活動です.

ボスニア・コソボ・アフガニスタン・そしてイラクでの紛争に兵士として派遣されたリチャード・ジョーンズ氏は養蜂という,ミツバチをよく観察し飼養するおだやかな気晴らしなら,帰還兵を衰弱させる心身の不調を和らげられると考えました.自身も数年前にPTSDと診断されたリチャードは過去の外傷体験を生々しく思い出すフラッシュバックや,記憶喪失など典型的な症状とたたかうのに養蜂が役に立つことを自ら体験していたのです.彼はラネリー出身で子どもの頃からミツバチが大好きでした.

「心的外傷後ストレス障害があると,集中力が低下して,一時的な記憶喪失が起きがちで,新しい情報を理解するのも困難になる」とリチャード.「それに彼らは人間関係が苦手になっている.だから従来の養蜂組織に加わるという方法はこの連中には不適切なんだ.だが蜂を扱えばたしかに集中してくる.うっかりしたら刺されると分かっているからな!」

彼はミツバチで自由になろう(Bee Free)プロジェクトを立ち上げ,この趣味を退役兵士仲間に教えて,養蜂を通じてのPTSD対処の輪をひろげようとしています. 一人でも多くの方がストレス障害を克服して,人気があるウェールズ産のハチミツを生産し,経済的に自立できれば,社会的意味がとても大きいですね.実現可能でしょうか.