ミツバチで自由にー 養蜂で戦争のトラウマに対処 その2

養蜂がなぜ心的外傷後ストレス障害を克服しようとする元兵士に効果があるのか,そのメカニズムはわからない.患者は専門家の意見に従うべきだ.しかし養蜂を続けていると,悪夢や不眠,攻撃的な行動,人間関係を保ちにくいなどの問題などが軽減できそうなのだ,とリチャードは自らの体験を語ります.

現在パートナーのロードリ・オーエンとともに出身地ラネリーで養蜂場を経営していますが,来年は15名程度の帰還兵に養蜂研修をしたいと.「不信感,アルコールや薬物依存,孤独感,自殺願望などもPTSDで引き起こされる.ミツバチで自由になろうプロジェクトでは,こんな傷害を良く理解した私たちが一緒さ.私自身がそれに苦しんだのだから.今でもつらい日があるんだ.養蜂研修の中にそんなことも典型的な軍隊式で折りこんだら,ユーモラスかもしれないね.」

リチャードとロードリは地域の農家や土地所有者に,敷地内にミツバチで自由になろうプロジェクトの巣箱をおかせてくれるよう働きかけています.人気が高く品薄状態のウェールズ産ハチミツの生産量を上げようというこの活動に地元養蜂組織キウェイン・ビーも賛同,一日講習会でウェールズの養蜂家が消費者にハチミツを直売して最大の利益をあげる方法をリチャードたちが指南する予定もあるとのこと.

 キウェイン・ビーのヒューズ氏は,「リチャードが始めた試みに私たち養蜂組織も加わり,退役した方たちに良い結果がでるのを楽しみにしている.リチャードのPTSDの経過をみていた専門家から,なにぶん戦争のトラウマという特殊な事情なので,退役軍人はだれもが地域の養蜂組織に気楽に参加できるわけではないと教えられた.ここではキウェイン・ビーとリチャードとの連携があって,傷害になやむ帰還兵も養蜂にとりくめる」と述べました.

「ミツバチで自由になろうプロジェクト」の活動には約3万ポンドが必要とのことで,デイリーポスト紙には寄付の連絡先が紹介されていました.

帰還兵のためだけでなく地域振興にも養蜂が期待されているようです.