ビーズ・フォア・ディベロップメントの活動

マルボローハウスの慈善ガーデンパーティーが資金援助をめざした団体はビーズ・フォア・ディベロップメント(B f D)です.23年前に二人の女性が別のミツバチ関係組織から独立し活動を開始して以来,都会から遠くはなれた途上国の貧しい村落地域の開発事業では,養蜂を組み込むことによって豊かな生物多様性を維持しつつ,収入を増やし家計を強化できること.また土地を持たない最貧層の農民にも暮らしを向上させる有効な手段となりうるなど,養蜂のユニークな特質を伝えています.

 従来の開発支援で一般的だった,先進国の精密に作られた巣箱で集約的生産をめざす養蜂スタイルをそのまま持ち込むのではなく,地域に生息するミツバチをつかい,伝統的養蜂が伝えられているならそれを取り込み,持続可能な簡素で粗放的なやり方が,ミツバチにも養蜂に取り組む人々にも最良であると推奨して,世界各地の養蜂プロジェクトにかかわり,これまでに南アジア,アフリカ各地,カリブ海各国などの何千家族もの人々が,継続的な養蜂研修に参加して,生活に最低限必要な収入をえる手段を手に入れる支援をしてきました.
 余剰資金がない農民でも手近な材料と工具で簡単な構造の巣箱をつくり,野生群をつかまえて飼養すれば,初期投資を低くおさえられ継続が容易,しかも養蜂を始めた年からいくらかのハチミツを収穫して,販売することもできます.手つかずの自然の中でたくさん開花してもとくに使われていない花々が,地域の住民が養蜂をはじめることで豊かで重要な自然資源となって,家計の持続的な維持を支えます.同時にミツバチの訪花は環境に幅広く利益をもたらします.
 B f Dは世界の50か国以上で直接養蜂開発事業に関わり,現在は地域社会や国レベルの支援事業をカメルーン,エチオピア,キルギス,タンザニアとウガンダで継続しています.その季刊誌ビーズ・フォア・ディベロップメントジャーナル(B f D J)は世界各地の養蜂関連ニュースや養蜂技術,関連行事や書籍の紹介記事などを掲載,130か国以上に届けられて,実践的な養蜂技術を習得し,いずれは生産物を輸出したいと望む人々に有用な情報を伝えます.アジア養蜂研究協会(AAA)は設立時からこのB f D Jを公式会報誌と定め,活用してきました.途上国の養蜂グループには必要に応じてB f D Jや研修用資料セット,専門家の助言が無料提供されるほか,B f Dのウェブサイトでは膨大な文献や記事情報が公開されています.
 これらの活動への理解を求め,必要な資金を募るのが7月1日のパーティーの趣旨であり,複数の英連邦加盟国(現・旧)で養蜂開発事業を実施したことに加え,上記のみごとな実績が今回のマルボローハウスでのガーデンパーティー開催にもつながったのでしょう.
 ミツバチに寄せる多くの人たちの気持ちを,単にお金を集めるというのでなく,寄与しやすいいろいろユニークな形で募り,しかも多数が楽しんで貢献できるしゃれたやり方で実行できるなんて,とても素敵です.