ミツバチコロニーと女王蜂 その2

 女王蜂は通常コロニーに一匹だけです.でも例外的に分蜂や女王交代の準備時期には複数存在する時間があります.女王蜂だけが性的に成熟した雌なので,求められる第一の機能は順調な産卵.越冬を終えた春から夏の初めまでの時期には連日多数の卵を産み続け,1日に最大1500個を巣房に産み付けます.

 女王蜂の姿や働きの画像をご覧になりたい方におすすめのサイトがあります. 日本養蜂協会>みつばち協議会>各種マニュアル をご覧ください.養蜂家向けと施設園芸農家向けの全部で5編のマニュアルがダウンロードできます.内容はおもに専門的養蜂技術の解説ですが,貴重な最上級の写真が多数含まれていて一見に値します.またこのページの写真もアピモンディア2007の広報資料より,蜜源・花粉源となるスウォンプブラッドウッドCorymbia phytocarpaです.

 話を女王蜂の産卵に戻しますと,春から夏の初めまでは多数の卵を産み続けますが,梅雨や真夏は良質な養蜂植物の開花が減り,女王蜂の産卵も一時低下します.秋の開花期にもういちど盛り返すけれど,気温の低下と共に次第に産卵を休止し,早春に再び活発化するまでの越冬期間中は,ほとんど産みません.女王蜂は産卵用に用意された巣房の内径を自分ではかり,その大きさに応じて有精卵と無精卵を産み分けていて,年間最大25万個,その一生では100万個以上の産卵もありうるといわれます.

 養蜂家は女王蜂が巣箱の中にちゃんといるか,たびたび確認しますが,多数のよく似た蜂の中で,どうやって女王をみつけるのでしょうか.何枚もの巣板の裏表,どこにいるのか簡単に見つかるとはいえませんが,働き蜂,雄蜂と女王蜂とは体型に歴然とした違いがあります.たとえば働き蜂や雄蜂の翅の端は折りたたんだ状態で,ちょうど腹部の先端あたりになりますが,女王は体長がもっと長く,特に産卵期には腹部が翅よりだいぶ先まで延びています.女王蜂の胸部は働き蜂より少し大きく,脚の花粉篭とロウを分泌する機能がありません.刺針は働き蜂のものより長く,曲がっていて,逆トゲは短く少ないのです.

 王台の中で成長する時期だけでなく,成蜂になってからもローヤルゼリーを食べ続ける女王蜂は,働き蜂よりはるかに長い寿命を持ち,5年間生きることもあるとか.しかし,順調に産卵するのは普通2,3年間で,1年ごとに更新する養蜂家も多いようです.