ミツバチコロニーと女王蜂 その1

ブログの数がふえてきたので,各ページにキーワードをつけて内容を分けてみました.右上にボタンがあります.

ミツバチの基本的なはなしのうち,これまでに働き蜂は取り上げてありましたが,女王蜂についてはまとめていなかったので,今月と来月に書き込もうとおもいます.

多数いる他の蜂とはかなり異なる一生をおくりますが,決して独裁者のように君臨統治しているわけではないんです.

 ミツバチは社会性昆虫で,多数の仲間と組織だった家族集団として暮らします.その生活は昆虫の中でもずばぬけて高度に進化したもので,単独で生きる昆虫が全く行わないような様々な複雑な仕事を,ミツバチコロニーのメンバーは日々こなしていきます.仲間との情報交換,複雑な巣の制作,巣内環境の調整,害敵からの防御,分業体制など,ミツバチはそのコロニーをうまく発展維持していくために,すばらしく洗練された行動形態を発達させました.これら驚くべき行動によって社会性昆虫は,とりわけミツバチは,地球に棲む生き物の中でも格別の存在となったのです.

 ミツバチコロニーにはふつう3種の成蜂,つまり,働き蜂,雄蜂,そして女王蜂がいます.何千匹もの働き蜂は協力して,巣を作り,食糧を集め,蜂児を育てます.それぞれの蜂は成虫になってからの日齢に応じてつぎつぎに,異なる仕事をこなしていきます.コロニーが生き延びて,若い蜂が次々生まれ育つためには,コロニー全体のつりあいのとれた協働が必要で,働き蜂,雄蜂,女王蜂,どの蜂であっても,巣仲間の支援なしに生きていくことは出来ません.

 コロニーには数千匹の働き蜂と,ふだんは一匹の女王蜂がおり,それに雄蜂が春の後半から夏の間にだけ数百匹います.この社会構造は女王蜂と働き蜂の存在によって維持され,コロニー内での効果的な情報伝達システムが不可欠です.体外に分泌されるフェロモンが巣仲間に届くことや,「ダンス」による情報伝達で,そのときどきに必要な行動を起こすよう仲間を促してコロニーを守ります.基本は日齢で変わる働き蜂の分業体制も,コロニーの状態が急変したときは,それに応じて仕事の種類を変更できるのです.

 繁殖力とコロニーの強さ(大きさ)は女王蜂の能力,食糧の貯蔵量,そして働き蜂の数にかかっており,コロニーが最大限の約6万匹に達したときは,その群の効率も最高の状態になります.写真は2007年オーストラリアのメルボルンで開かれたアピモンディア2007の広報資料で,主要蜜源イエローボックスEucalyptus melliodoraのハチミツで満杯になった5段群です.