季節変化とミツバチコロニーの活動 1-秋

蜂群の活動は季節に応じてかわり,9月から12月がミツバチコロニーの新年といえるでしょう.秋に多くの若い蜂をえて,たくさんのハチミツと花粉を蓄えられるかどうか.この時期の状態が1月以降の蜂群の盛衰の鍵を握ります.

アメリカのMAARECは私が頼りにしている尊敬すべき情報源のひとつで,今回はその充実した記事のほんの一部をご紹介します.

https://agdev.anr.udel.edu/maarec/honey-bee-biology/

 ミツバチのコロニー(蜂群)はふつう数千から2万匹ほどの働き蜂(性的に未熟な雌)と一匹の女王蜂(性的に成熟した雌),それにコロニーの大きさや季節によって数匹から数百匹まで数が変わる雄蜂(性的に成熟した雄)が,ゆったり固まって暮らしています. 1群に一匹だけの女王蜂はもっぱら産卵します.決まった間隔をあけて垂れ下がる,ロウで作られた数枚の巣板の両側に蜂たちは広がり,全体は緩やかな塊になっています. 6角形の巣房にハチミツ(炭水化物の食糧)と花粉(タンパク質の食糧)を貯蔵したり,女王蜂が産卵した卵から幼虫,蛹へと育てていくのは働き蜂です.巣房の蓋を破って蛹から羽化した若い蜂が次々に生まれ,古い蜂に取って代わり,コロニーは続いていきます.

 夏が過ぎ秋になると花がなくなり,巣に運び込まれる花蜜と花粉の量が減り,それにより蜂児の生育が押さえられ,蜂群は縮小し始めます.花蜜を集めにくくなると,働き蜂は巣内の雄蜂を巣門の外に引っ張り出し,戻らせません.自分で餌をとることをしない雄蜂は巣の外に追い出されたら,そのまま飢え死にするしかありません.コロニーから雄蜂を除去するのは越冬用食糧備蓄を温存するためです.

 老いた蜂は徐々に死んでいきますが,秋生まれの若い働き蜂は女王蜂と共に冬を生き抜きます.秋に咲くセイタカアワダチソウやセンダングサ,キクの仲間は花蜜も花粉も豊富に提供してくれる貴重な味方です.この時期に花粉が十分に集められ,蜂児を栄養十分な状態で育てられれば,越冬も安心.花粉不足,つまりタンパク質不足の状態で生育した蜂は,成蜂になったときの健康や習性にいろいろ問題があることが最近の研究でわかってきたそうです.

 巣内に寒気が忍びこまぬように,ミツバチはポプラなどの樹の芽から集めたプロポリスを塗って巣の割れ目をふさぎ,巣門も小さくします.