花粉の栄養なしには III

蜂群に必要な栄養を十分供給するために,養蜂家は蜂場周囲の花粉源植物を確認してください.見ため重視の園芸植物は往々にしてミツバチの役に立たず,開花が多くても豊かな採餌先とは限りません.ある植物の花粉の多さと,ミツバチが利用できる花粉量とは必ずしも比例しません.風媒花であるマツは,タンパク質に乏しい花粉を大量に生産しますが,ミツバチが採餌に訪れない代表的な植物です.ポイントは”多様,多彩,様々”です.

 ミツバチに必要な栄養要求量を考えるとき,最重要ポイントは”多様,多彩,様々”です.1種類の花粉では,たとえそれが大量に採れても,蜂群が必要とするいろいろな栄養素のすべてをまかなうことはできません.異なる種類の植物から多様な花粉を集めてくれば,求められるすべての栄養素を確保しやすくなります.人間と同じように,ミツバチにも均整のとれた食事が大切なのですね.巣板に花粉がアーチ状に多様な色(オレンジ,黄色,赤,白,みどり,など)でためられていればGood!花粉ではその量よりも質が重要です.

 ミツバチを飼養する人は,蜂場の周辺にどんな植物が生えていて,そのうちミツバチが花蜜や花粉を利用できる種類はどれなのか,よく知っていなければなりません.蜂群はそれらの食糧をたよりに生きていくのです.しかし蜂群が何をどれだけ必要とするか,その中身は季節や蜂児の生育状況,また養蜂家が何をめざしているかによって異なります.採餌できる花粉が不足しているときや,集めにくい状況が疑われるときには,代用花粉や補助食品を給餌すると良いでしょう.

 養蜂家は周辺にある蜜源,花粉源となる植物を調べ,自分の蜂群にはどの時期に何が必要なのかあらかじめ学習しておくべきです.地域の植生についてはインターネットや図書館で調査報告を参照できるでしょう.