チェルノブイリ:ある養蜂家の体験 その1

 今から30年前,1986年4月26日にチェルノブイリ原発事故が起きました.まきちらされた放射性物質は今日も周辺地域を汚染し続けています.つよい放射能により,ミツバチなどの花粉媒介者は減り,果実は実りにくくなり,樹木も減る.環境変化は事故から20年後,25年後でもみられると研究者は報告しています.ミツバチは事故直後から異常があることを知っていたという養蜂家がいます.

 フェイスブックのEthnobeeologyから4月26日 15:30 に配信された記事です.

http://www.chernobyl-international.com/case-study/the-bee-keepers/  

「ミツバチは何か良くないことが起きたとすぐに分かっていたんだ.だが私たち人間はまるで理解していなかった.何もかも手遅れになってから,やっとわかったんだ」とチェルノブイリの近くに住んでいた養蜂家は語り始めました. 

「あの朝のことをよく覚えている.美しい春のいいお日和だったよ.いつものように裏の菜園にでた.リンゴの花が満開に咲いて,お気に入りの季節さ.ウェディングドレスのように真っ白だった.しかし,どこか変だ.なにかがたりない,いつものあの音が聞こえない.ああ,そうか.やっとわかった.ミツバチの羽音がまったくしない.しかしそれは不思議だぞ.巣箱はすぐそこに,リンゴの木の下にずらっと並んでいたんだから.今はもう何もかも腐ってしまっただろうが,あのときは違った.うちではとても良いハチミツが取れて,食べたり売ったりできていた.

 ”どうしたんだろう,何がまずいのかな”妻のニーナに声をかけた.”これは縁起が悪いわ.とても奇妙よ,アンドレイ”.面布をかぶり,巣箱の内検を始めた.蓋を開けると蜂はちゃんとそこにいた.巣板について,しかし音を立てずにじっとしている.羽音が少しも聞こえない.こんなに静かなのは妙だな.具合が悪いのか,畑で農薬を浴びたのだろうかと私は思った.」

 写真はウクライナの養蜂場で,移動養蜂用トレーラーと巣箱を見る2013年アピモンディア@キエフの見学旅行参加者.チェルノブイリがあるウクライナは昔も今も養蜂がきわめて盛んです.

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