ハチミツ品評会 その3

2012年マレーシア,クアラトレンガヌでのアジア養蜂研究協会大会に付随して,アジアの多様なハチミツを評価するために,本格的ハチミツ審査法をまなぶワークショップが有名講師を招いてひらかれ,わたしも参加しました,事前に講師からワークショップでの基準ハチミツとなる,よく知られた蜜源のハチミツ1kgを入手できないかとの依頼を受けて,小田原・高橋橘蜂園のミカンハチミツを提供しました.

 ワインの評価方法に似た新しいやり方とのことでしたが,視覚,嗅覚,味覚を駆使して数種のハチミツを比較,吟味し,与えられた多数の言葉の中から,該当するものや程度を選びます. 3段階ある研修レベルの入門編だけでしたが,20種以上の審査用紙があり,一問ごとにトレイにのった3ml程度ハチミツが入り蓋をした数個のプラスチック容器があたえられます.中にどんな種類のハチミツが入っているかはもちろんブラインドですが,トレイとプラ容器には番号がふってあります.

 この日の参加者5か国12名は朝から夕方まで,講義をうけつつ,何回も繰り返し,ちいさなプラ容器を手で温めて中のハチミツのかおりを確かめ,少量のハチミツを口に運んでゆっくり味わい,鼻に息を抜いてその匂いをかぎました.1回ごとに舌をリフレッシュするため薄切りのリンゴをかじり,水を飲み,そして今感じた味や香りをいかに表現して審査用紙に記入するか,大いに頭を悩ませました.

 ミツバチの種類が多いアジアなので,ワークショップにはセイヨウミツバチだけでなく,トウヨウミツバチ,オオミツバチ,コミツバチ,ハリナシバチなどのハチミツも寄せられました.吟味・評価するために与えられた多様な言葉には,ハチミツとは全く関係なさそうな名詞,形容詞がありましたが,じっくり味わううちに野生ミツバチ種から採集したハチミツには,ニホンミツバチをふくめて,ワイルドな気配の形容詞も使いました.

 さらに,アジア各地の真面目な養蜂家を悩ませる存在である偽和ハチミツまで,そうとは知らずに善意でよせられたサンプルの中に見出されて,入手しやすい化学薬品と器具を用いた簡単な識別方法が教えられました.台湾の参加者が持ってきた大変古いトウヨウミツバチの蜜という高価な黒い塊は,なんとただの水飴と判明しました.残念でしたね.

 小田原のミカンハチミツはワークショップ参加者のブラインドテストで,最もおいしいハチミツとの評価を得ました.高橋さん,ありがとうございました.