ハチミツ品評会 その1

農家が丹精込めてつくった自慢の農産物を一堂に集めて、展示する農産物品評会は人気がありますね.養蜂家もその年とれたハチミツの品評会を開きます.養蜂雑誌にあった,米国南部にすむ趣味養蜂家の女性がイギリスのナショナルハニーショウに出品参加し,自慢のハチミツを会場の担当者にゆだねるまでのゆかいな苦心談を読んでから,大変秩序だったハチミツ品評審査の方法にわたしは興味をもちました. 

 ナショナルハニーショウ http://www.honeyshow.co.uk/ は毎年10月末にロンドン近郊で開催される英国養蜂協会および,スコットランド,北アイルランド,ウェールズの各養蜂協会とアイルランド養蜂連盟合同の全国大会.出品が百点以上あった各地域の品評会でブルーリボン(1等)を取ったハチミツだけが出品できる,敷居の高い品評会ですが,国外からも別枠で出品でき評価されます.

 ハチミツは具体的にどんなふうに審査されるのか,ある養蜂協会の審査員・品評会役員用ガイドラインを読むと,まるで英国ミステリーの一場面のようです.たとえば審査員用準備品は,品評会のスケジュール表,白衣と白い帽子,英国標準ハチミツ色識別ガラスセット(!),拡大鏡,懐中電灯(予備電池と電球),最低限6本のハチミツ試食用ガラス棒とタンブラー3個(湯,水,乾いたガラス棒を入れるため),熱湯用魔法瓶,ウェットティシュ(無臭),口直し用リンゴなどなど.

 審査開始前のチェック項目は;スケジュールに関する疑問点に事務局が返答したか,ちがう部門へ応募した出品の正しい部門へ変更を事務局が了解したか,あるいは応募を却下するか.世話役は入賞カードを用意しているか,1部門に一人が複数出品できるが,入賞は1回/1部門/一人に限定される場合,世話役にこういうエントリーに関するリストが渡されているか,世話役は自分のなすべき仕事内容が良くわかっているか,など過去の経験に基づきポイントをよくおさえています.

 世話役とは品評会で審査員が求めたらビンの蓋をゆるめるが,蓋を取り外さないなど,審査員の作業を補助する係員で,白衣・白帽子・禁煙,審査員から特に求められた場合以外は意見を述べない,などがかかれています.

 世話役を従えた審査員が何をするかは次項で.