家畜としてのミツバチ 1

日本には2種のミツバチがいます.一般的な養蜂はセイヨウミツバチを使いますが,ほかに野生のニホンミツバチがいて,これを巣箱に飼う人もいます.自由に飛び回っていますが巣箱で飼われているミツバチは家畜で,農林水産省生産局畜産部畜産振興課に飼育の届けをすることになっており,諸統計の対象となります.

畜産振興課公表データによると,国内のミツバチ飼育戸数と蜂群数は平成22年以降増加で推移.平成24年の飼育戸数は約6千戸,蜂群数約18万4千群でした.養蜂振興法の改正により,平成25年以降は趣味養蜂にも届け出義務が拡大し,戸数が約8千戸,蜂群数は約20万4千群となりました.蜂群増加分には新たに届け出対象となった近代的巣箱で飼われるニホンミツバチ群が含まれます. 1月1日時点の調査なので,夏季に蜂群数はこの2倍以上に増えます.またミツバチの衛生や病気については,各都道府県の家畜保健衛生所の指導を受けます.


蜂場に行くと40個ほどの巣箱が整然とならんでいます.ひと箱に一群が収容されており,環境条件がよいと養蜂家は巣箱を二段,三段と積み上げ,一群の蜂数を増やして,効率よくハチミツやローヤルゼリーを増やそうとします.


巣箱の蓋を開けましょう.標準の巣箱には8~9枚の巣板(すばん)が収納できます.ふたを開けたらすぐに煙をかけておくと,蜂はおとなしくなるので扱いが楽です.巣板を一枚持ち上げると,両側に多数の蜂がついています.養蜂家はこの作業を内検といって,女王蜂や働き蜂の状態,ハチミツや花粉の量,病気の発生がないかなど,巣の状態を確かめていきます.巣板は木製の枠の中に蜂がつくった巣がはめ込んであるように見えますが,現在では巣礎という蜂の巣の基本設計を写したろうの板を張った木枠を与え,蜂が大変効率よく迷わずに巣をまっすぐにつくるようにしています.時期により1万~5万匹の蜂が一つの群(コロニー)をつくっているのです.