健康なミツバチ,幸せなミツバチの養蜂 3

ミツバチといえば,まずは花の蜜からつくるハチミツですね.花蜜の主成分はショ糖ですが,巣に持ち帰って貯めるときには,ブドウ糖と果糖に分解して,水分を減らしてハチミツを完成します.自分の食糧としてだけでなく,巣仲間の蜂や幼虫のために,また花の少ない季節や冬に備えて蓄えるのです,

もう一つ,ミツバチが花に大きく期待しているのが花粉です.花の上で,あるいは空中を飛びながら,全身の毛についた花粉を後肢の花粉かごにつけて運びます.ミツバチの働き蜂は,寿命は短いけれど,毎日たくさん新しく産まれてきます.女王蜂が卵を産み,幼虫が育つためのタンパク質,ビタミン,ミネラルなどの栄養源となる花粉は,巣に大量には貯蔵できないため,日々,花から集めなければなりません.そのため,ミツバチは季節ごとにたくさんの花が必要なのです.
ミツバチは花蜜と花粉を花から集める代わりに,花粉の媒介をして,植物の再生産を助けています.本来自然界で花粉媒介の役目を果たしていた野生のハナバチ類が減っており,使いやすい家畜であるミツバチの出番が増えました.実った果実や種子は小動物のエサにもなり,そこには多様な生物が,互いに関係しながら集う生態系が形成されます.
多様な植物が四季を通じて生育,開花し,花粉源・蜜源植物がバランスよく供給される地域であれば,ミツバチは地球上で長く生きのびてきた本来の力強さと健康を取り戻して,元気な羽音を聞かせてくれるはずです.花の咲く木や草を増やし,健やかで幸せなミツバチとの養蜂をつづけて,人が多様な生物と共存できる豊かな環境をまもり,持続可能な社会へとつなげたいと願っています.

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