ミツバチはどうやってハチミツをつくるのか その2

  一つの貯蜜巣房を花蜜で一杯にするまでには,花蜜採餌蜂は何回も花と巣を往復しなければなりません.

  巣房に花蜜が貯められると,巣の中で働くもう少し若い蜂が羽を動かして空気の流れを起こし,花蜜中の水分を蒸発させて,蜜の濃縮を進めます.一般にハチミツは花蜜より75%濃度が濃くなっていますから,巣箱の中でミツバチはかなりの水分を飛ばすために働き続けているのです.

 熱心に濃縮仕事に取り組んだかいがあって,濃厚なハチミツが完成したと認めると,ミツバチはその貯蜜巣房に蜜蓋をかけます.

 ミツバチは自分がたべるだけでなく,巣にいる仲間の若い蜂や幼虫のために,また花の少ない季節や冬に備えて多量のハチミツを巣の中に蓄えます.私たちはその蓄えの一部を巣から取り出して,おいしくたべているのですね.

 蜂がどんな花に行って花蜜を集めてきたのか,その花の種類によって,できあがるハチミツの色や味などが変わります.科学者の研究から,一匹のミツバチが花蜜を集めにでかけたとき,たいていは一種類の花を次々に訪れることが多いとわかりました.商業養蜂家は特定の花蜜がメインとなったハチミツ(単花蜜)を生産するために,採蜜する蜂群が目的の花を訪れるよう,色々な条件におおいに注意を払って管理します.

 現在ミツバチは厳しい状況に置かれています.人間の過大な経済活動から地球環境が変化して,ミツバチの生息に適した自然環境は減少しました.地域の環境に根ざした多様な植物が生育し,色々な花が次々咲いていく豊かな森にいる野生のミツバチの暮らしと,現代の効率的な養蜂形式はかなりの違いがあり,ミツバチの健康を脅かすものが出てきました.科学者は脅威の原因を見極め,その対策を立てようとしています.

 ミツバチがいなくなったら,ハチミツがなくなるだけではありません.多様な農作物の生産のためにも,彼らは花を訪れて,花粉媒介をしています.今日では,大部分の野菜,果物,そしてキャノーラやアルファルファなど油量作物,牧草類の種子生産にもミツバチの働きは不可欠なものになっています.