ビースペースと近代養蜂

ラングストロス師は1852年に最初の可動巣枠式巣箱を制作,飼養試験を開始しました.ビースペース概念をふまえた可動巣枠式巣箱と,この可動巣枠をいれた箱を積み上げる方式の巣箱の開発により,養蜂は家内工業から大規模な産業へと大きな変貌をとげて,広く豊かな国土に恵まれる米国では1800年代末までに数千群の蜂群でハチミツ生産をおこなう養蜂企業家が数名出ていたということです.

 可動巣枠式巣箱の出現により,巣板を取り出して蜂群の状態を詳しく見る,いわゆる内検がきわめて容易になり,今日の養蜂では可動巣枠式巣箱が世界中で広く一般化しています.日本でも電話やネットで注文すれば,巣箱に入った蜂群を入手できますが,上手に飼養するにはミツバチの健康管理はもとより,周囲の環境に対する理解も不可欠です.欧米に比べて,養蜂教育を受ける機会はごく限られていて残念なことです.ここからは英国のデビッド・クシュマン氏のサイトにある彼の経験に基づいたビースペース関連の情報をご覧ください.

 趣味養蜂を試行錯誤しながら長く続けたクシュマン氏は晩年足が不自由になり,蜂場に出られなくなったとき,持てるすべてのうんちくをネットで公開することにしました.いかにも手作りらしい,今となってはややふるめかしい見た目のウェブページですが,その養蜂技術情報は幅広く膨大です.実際的,具体的な内容で多くの養蜂家に支持されたサイトは,2011年の彼の逝去後もRoger Patterson氏が引き継いで,加筆・更新をしています.http://www.dave-cushman.net/