クシュマン氏のビースペース考察 その1

L.L.ラングストロス師が「ビースペースを発見した」とか中には「発明した」と書いてあるものを見たことがあるが,もちろんそれらは正しくない.ミツバチ自身がビースペースを編み出したのであり,人間もそれを遙か昔から知っていた.ただそれをふまえて,巣箱での飼養にきわめて有効な方法を開発したのがラングストロス師なのだ.

http://www.dave-cushman.net/bee/bsp.html

 「ビースペース bee space」とはミツバチが自然巣内で隅々まで自由に行き来できるように残しておくすきまで,この空間をミツバチがプロポリスや巣房で埋めてしまうことはほとんどない.ラングストロスの可動巣枠式だけでなく,ミツバチにやさしい飼養方法として,近年改めて行われているトップバー巣箱方式も,ミツバチが巣箱側面に巣板を固着せずビースペースを残すという行動習性におおきく依存している.

 皆さんはビースペースが4.5ミリから8ミリであること,あるいは6-9ミリとも広く言われているのをよくご存じだろう.しかしこれは最少4.5ミリから最大8ミリまでの変動幅があるということではなくて,5.3 mm ± 0.5 mmか 9.0 mm ±1.0 mmのいずれかであり,言い換えるとビースペースには2種の幅があるのだ.なぜならある場所はミツバチ1匹分の作業/通行スペースでよいが,巣板と巣板の間では両側の巣板上でミツバチが背中合わせで働いているのだからである.

 次項では巣箱内に隙間を見つけると,ミツバチはどのように対処するのかをサイズごとに見ていきたい.

 ◇4ミリ以下の空間:普通に生育した成蜂では通り抜けられないサイズ.巣箱のひび割れや継ぎ箱,隔王板など積み上げた器材の隙間など,4ミリ以下の空間はプロポリスで埋められる.プロポリスとワックスを混ぜて使うこともあり.

 ◇5ミリの空間:巣門に取り付けて花粉団子を回収するにはこのサイズのワイヤーメッシュが適している.外勤蜂は通り抜けられるが,脚の花粉団子はだいぶ落としていく.

 ◇5.2-5.4ミリの空間:ワイヤーメッシュを利用して,雄蜂を振り分けるときに使えるサイズ.働き蜂と女王蜂は自由に行き来できるが,雄蜂は通りぬけられない.

    <つづく>