サクラメントの養蜂家を百万ドル相当の巣箱窃盗容疑で逮捕 ①

米国カリフォルニア州で頻発する蜂群窃盗事件の捜査陣は,地元加州の養蜂仲間と,早春のアーモンド農園での仕事をめざして全国から集まる養蜂家のネットワークから協力を得ていました.以前に盗まれた知り合いの巣箱を,ある養蜂家の作業場で見つけたとの有力情報がこの逮捕につながったとロサンゼルスタイムズ紙が伝えます.

多くの養蜂家が懸念していた巣箱の大規模窃盗について,米国の養蜂ネットニュースであるCATCH THE BUZZは関連情報を今年初めから継続して追っていました.それが一つの山場を迎えたようです.

サクラメントに住むパベル・トベレチノフ容疑者(51)は,カリフォルニア州セントラルバレーでアーモンド農園の花粉媒介用に大量に搬入されるミツバチ巣箱をねらい,この3年間に州内ほぼ全域で巣箱の窃盗を繰り返していたと警察が発表.巣箱2500個以上の窃盗容疑で控訴され,被害総額は約87万5千ドルにのぼりました.

LAタイムズ記事によると,トベレチノフ容疑者は巣箱を夜間に盗みだし,平床トレイラーで移動,別の果樹園主に現金決済で貸し出したそうです.見出しの写真にあるように,大規模養蜂では蜂群をパレット(台座)に複数群をまとめてのせ,そのまま蜂場において管理,移動時にもパレットごとフォークリフトで平床トレイラーへ効率的に搬入,搬出を行います.

広大なアーモンド畑がつづくカリフォルニア内陸の農業地域で,まだ寒い嵐の季節に,日本のウメ同様,他の花に先駆けてアーモンドは開花します.限られた晴れ間にすべての花が確実に送粉されるように,生産農家は普通の果樹花粉媒介で使われる量の何倍もの蜂群をアーモンドのために養蜂家からレンタルします.ハチミツ生産による収入を上回る大きな収入源となるポリネーション用蜂群レンタル料をめざして,米国各地から全蜂群数の約半分がこの時期にカリフォルニアのセントラルバレーに大集結し,その中で窃盗団が暗躍していたわけです.