南アでミツバチが国際クリケット試合に乱入

まじめな解説が続いたので,気分転換しましょう.少し前にインターネットで,グランドの芝生にうつぶせになる選手とミツバチが何とかというニュース写真を見ました.イギリスの養蜂雑誌Bee Craft がつたえるその詳細をおとどけします.

南アフリカ・ヨハネスブルグで先日行われたクリケットの国際試合で,観衆は思いがけなく養蜂家大活躍の様子をみることになりました.

 英国の伝統あるスポーツ,クリケットは今もイギリス連邦各国間で交流試合があるのですね.南アフリカとスリランカのチームがワン・デー・マッチを戦っていたヨハネスブルグのワンダラークリケットフィールドにミツバチの分蜂群が飛来したそうです. 3万匹程度の群が,フィールド中央部のクリケットピッチに侵入したためにゲームは急遽中断され,乳がん啓蒙運動支援のために全身ピンク色のユニフォームを着ていた南アフリカチームの野手だけでなく,スリランカチームのバッツマンやアンパイヤらも全員がフィールドにじっと伏して,みつばちが頭上から飛び去るのをひたすら待ちました.このときの写真ですね,私が見たのは.

 ところが,望ましい営巣場所をみつけて飛び去るのではなく,蜂群はピッチに放り出されていた選手のヘルメットに集合.困惑した係員はまず車輪付きの大型ゴミ箱に蜂群を丸ごと回収しようと試みたのですが,うまくいかないことがわかると,つぎには消火器で追い払おうと準備を始めました.

 クリケットフィールドからほんの数マイル離れた自宅で試合をテレビ観戦していた地元の養蜂家ピエール・ハイファー氏は,大急ぎで日頃分蜂群回収に使っている道具類一式を車に積み込み,会場に急行,助っ人の登場によろこんだ警備担当者によってフィールド内に即座に案内されました.養蜂家は手際よく速やかに蜂群を回収し,満場の大喝采を浴びたとのことでした.めでたしめでたし.

 2001年に第37回国際養蜂会議を開催した南アフリカはミツバチ科学研究と養蜂が盛んな国で,特異なセイヨウミツバチ亜種の存在も知られています.蜂病に比較的強いと言われていた同国のミツバチに,2015年アメリカ腐素病(AFB)が蔓延して,大被害と聞きました.今回のハイファー氏もヨハネスブルグを中心に活動する養蜂家組織Southerns Beekeeping Association の会員なのでしょうが,そのサイトには英語とアフリカーンス語のAFB対策ガイドブックがありました.