ミツバチにとってタンパク質は

ミツバチの体タンパク質量はその蜂群の越冬可能性,ハチミツ生産性,ヨーロッパ腐素病(EFB)やチョーク病など多くの蜂病への耐性をしめす目安となり得ます.耐タンパク質量のレベルが高いほど,ハチミツを多く生産でき,花粉媒介能力や女王蜂養成能力が高いのです.

 ミツバチはタンパク質で,翅,筋肉その他の体内器官を形づくりますが,成虫になってからも体内に60%以上もの体タンパク質を取り込めて,タンパク質量が多いほど元気に長生きし,多量のハチミツを作り出せます.反対に状況が厳しいときには体タンパク質を30%以下までへらしますが,そうなると短命でヨーロッパ腐蛆病やノゼマ病を発症しがちになり,ハチミツ生産量は減少します.

 秋期には高タンパクのミツバチがぜひ必要になります.彼女たちならノゼマ病と戦い,強群で越冬し,春の建勢時期に必要になる体タンパク質を十分用意しておけるからです.春から養蜂の良いスタートを望むなら,秋に蜂群の栄養状態を万全にしなければなりません.経験豊富な養蜂家なら皆さんが秋期の大切さをよくご存じです.体タンパク質が不足した蜂群は越冬が難しく,ノゼマ病に弱く,春先に蜂がごっそり減ってしまいがち.春からの建勢も延びにくいでしょう.

 体タンパク質は盛んなハチミツ生産,寒すぎる/暑すぎる天候,蜂ロウ生産,そしてとくに春期の蜂群建勢時期の盛んな蜂児生育により消耗します.一方,消化可能な粗タンパク質を20%以上ふくむ花粉を大量に採餌できて,激しいハチミツ生産や厳しい天候に曝されなければ,体タンパク質は増加します.